
*この記事は、2025年08月12日に公開された記事です。
EU向け製品のCEマーキングでは、技術文書ファイルを作成しなければなりません。
技術文書ファイルをユーザーやどこかの認証機関に提出しなければならないのか?という疑問について、解説したいと思います。
<コンテンツ一覧>
- 1. 技術文書ファイルとは何ですか?
- 2. 技術文書ファイルは、EU当局に提出しなければなりませんか?
- 3. ユーザーに技術文書ファイルを提出しなければなりませんか?
- 4. 認証機関に提出しなければなりませんか?
- 5. イーエムテクノロジーのサービス
1. 技術文書ファイルとは何ですか?
技術文書ファイルとは、CEマーキングを行うための全てのエビデンス資料をまとめたものになります。
製品に適用される法令ごとに、技術文書に対する要求が異なりますが、一般的には、製品外形図、組図、回路図、部品表、計算書、リスクアセスメントシート、評価レポートなどで構成されたCEマーキング適合のためのエビデンス資料のことです。
製品の設計/製造に関わる重要文書 になりますので、取扱いには十分に注意しなければなりません。
2. 技術文書ファイルは、EU当局に提出しなければなりませんか?
自己宣言製品では原則提出不要 ですが、EU当局から要請があれば速やかに提出できるように準備が必要になります。
製造者(またはEU認定代理人)は、最終製造日から少なくとも10年間(製品により異なる場合あり)保管 しなければなりません。
継続生産されている製品では、最後にEUに上市された製品個体の最終上市日を起算日として、10年間保管しなければならないことに、ご注意下さい。
3. ユーザーに技術文書ファイルを提出しなければなりませんか?
ユーザーへの提出義務はありません。
技術文書ファイルには、自社ノウハウや品質基準などの情報が設計図面などに盛り込まれていることもあります。
ユーザーが求めているから全て提出しなければならないというわけではございません。
日本企業から技術ノウハウの流出につながることにもなりかねませんので、基本的には開示しないほうがよいです。
技術文書には自社ノウハウが含まれる場合が多く、安易な提出は知財流出のリスク があります。
4. 認証機関に提出しなければなりませんか?
医療機器規則(MDR)や爆発性雰囲気用機器指令(ATEX)など、特定のリスクカテゴリーに属する製品は、技術文書をEU認証機関(Notified Body)に提出して審査を受ける必要があります。
リスクの高い製品では、EUが認めた認証機関による審査を受けなければなりません。
認証機関による審査では、技術文書ファイルも審査対象になりますので、認証機関に技術文書ファイルの提出が必要となります。
5. イーエムテクノロジーのサービス
イーエムテクノロジーでは、技術文書ファイルの作成や、製造者がどの資料をユーザーに開示するべきなのかなど、技術文書ファイルの保管や取り扱いについても、詳細に説明させて頂いております。
ユーザーから求められたら全部提出するというのは、知財流出のリスクがあります。
一品もののワンオフ製品では、契約時に納入仕様書や完成図書として、ユーザーに技術資料を提出しなければならないかを決めていることも多いですが、特定のユーザー以外の他社にも販売するような製品では、できる限り技術文書の開示はするべきではないでしょう。
特に、自社ノウハウが詰まっている技術資料は開示しないようにすべきです。
イーエムテクノロジーでは、このような点も踏まえて、日本企業である製造者様の自社ノウハウを社外に漏らさないようにするために必要なこともお伝えしております。
日本企業のノウハウ・競争力を守りつつ、欧州適合をスムーズに。
実務に直結する「開示する資料/開示しない資料」の線引きまで、丁寧にご説明致します。
これから欧州CEマーキングに取り組もうとされている日本の製造者の皆様のお力になれるように、イーエムテクノロジーが精一杯お手伝いさせて頂きます。
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【イーエムテクノロジー株式会社 技術部】
